ライバルに差をつける企業分析のやり方| 5 つのフレームワークと IR 情報の読み解き方
業界研究を進めていくと、次にあなたが向き合うことになるのが**「企業分析」**というステップです。
「気になる企業はいくつか見つかったけれど、それぞれの違いがよく分からない…」
「“貴社の将来性に惹かれました”だけでは、志望動機が浅いと言われそう…」
「IR 情報って、どこを見ればいいの?数字ばかりで難しすぎる…」
多くの就活生が、この企業分析の深掘りで悩み、ライバルとの差別化に苦しんでいます。
しかし、安心してください。企業分析には、**誰でも実践できる「型」と思考の「フレームワーク」**が存在します。
この記事では、数多くの企業を分析してきた私たちが、「これだけ押さえれば OK」という 5 つの分析フレームワークと、少し難しく見えるIR 情報を読み解くための実践的なコツを、分かりやすく解説します。
表面的な情報収集から一歩踏み出し、企業の「本質」を見抜く力を手に入れましょう。
企業分析とは?業界研究との違いを理解する
まず、業界研究と企業分析の違いを明確にしておきましょう。
- 業界研究: 業界という「市場」全体の構造やトレンド、力関係をマクロな視点で理解すること。
- 企業分析: その市場に参加している個別の企業(プレイヤー)の経営戦略や財務状況、組織文化などをミクロな視点で深掘りすること。
業界研究が「どんなサッカーリーグが、今盛り上がっているのか?」を調べることだとすれば、企業分析は「そのリーグの A チームは、どんな戦術で、どんな選手が活躍しているのか?」を分析するようなものです。この両輪があって初めて、あなたの企業選びの精度は格段に上がります。
これだけは押さえたい!企業分析の 5 つの必須項目(フレームワーク)
企業のどこを見ればいいか分からない…という方は、まず以下の 5 つの視点で情報を整理してみてください。
1. 事業内容(ビジネスモデル):どうやって儲けているか?
全ての基本は、その会社が「どうやって利益を上げているか」を理解することです。
- 誰に? (顧客): 法人向け(BtoB)か、一般消費者向け(BtoC)か。
- 何を? (商品/サービス): 形のあるモノを売っているのか、無形のサービスを提供しているのか。
- どうやって? (販売方法): 売り切りモデルか、月額課金(サブスクリプション)モデルか。
- 主要事業は?: 企業の IR サイトにある「セグメント情報」を見ると、どの事業が売上の何%を占めているかが分かります。その会社の「稼ぎ頭」を知ることができます。
2. 業績・財務状況:会社の体力はどれくらいか?
企業の健康状態をチェックしましょう。IR 情報の「決算短信」や「決算説明会資料」を見るのが基本です。難しく考える必要はありません。まずは以下の 3 点に注目してみましょう。
- 売上高: 会社の事業規模を示します。伸びているか、横ばいか、減少しているか。
- 営業利益: 本業での儲けを示します。売上が伸びていても、利益が減っていれば「何か問題があるかも?」と考えるきっかけになります。
- 利益率 (営業利益 ÷ 売上高): 収益性の高さを示します。この率が高いほど、効率的に稼げるビジネスであると言えます。同業他社と比較してみるのが非常に有効です。
3. 強み・弱み(SWOT 分析):何が得意で、何が課題か?
その企業がなぜ選ばれ、なぜ勝ち残っているのか。その本質を探ります。
- 強み (Strength): 他社には真似できない技術力、圧倒的なブランド力、強固な顧客基盤など。
- 弱み (Weakness): 特定の事業への過度な依存、海外展開の遅れ、旧態依然とした組織体制など。
- 機会 (Opportunity): 社会の変化(例: 高齢化、環境意識の高まり)によって、その企業に追い風となる要素は何か。
- 脅威 (Threat): 競争の激化、法規制の変更、新技術の登場など、その企業にとって向かい風となる要素は何か。
この分析は、あなたの「入社後、どう貢献したいか」を考える上で、非常に重要なヒントになります。
4. 社風・文化:どんな人が働いているか?
どんなに優れた事業内容でも、働く環境が自分に合わなければ長続きしません。
- 採用サイトのメッセージ: 社長メッセージや社員インタビューから、企業がどんな価値観を大切にしているかを読み解きます。
- OB/OG 訪問: 実際に働く先輩社員の話を聞くのが最も確実な方法です。
- 口コミサイト: OpenWork などの口コミサイトも参考になりますが、あくまで個人の意見として、多角的な視点を持つことが重要です。
5. 将来性・ビジョン:どこへ向かっているのか?
その企業が、3 年後、5 年後、どんな会社になろうとしているのか。その船が向かう先を確かめましょう。
- 中期経営計画: 多くの企業が、数年後の中期的な目標や戦略をまとめた資料を公開しています。「DX」 「グローバル」 「M&A」など、その企業が今、何に力を入れようとしているかが分かります。
- 社長のメッセージ: トップが何を考え、どんな未来を描いているかは、企業の方向性を知る上で最も重要な情報の一つです。
企業分析を『Gyo-Kai Compass』で効率化する
これら 5 つのフレームワークを、自力で Excel やノートにまとめるのは大変な作業です。
私たちの業界研究ノートアプリ**『Gyo-Kai Compass』には、この思考の流れに沿った「企業分析シート」**が標準で搭載されています。「事業内容」 「強み・弱み」といった項目が予め用意されているので、あなたは集めた情報をその型に流し込んでいくだけ。
散らかった情報が構造化され、複数の企業を同じフォーマットで比較することで、各社の違いが驚くほどクリアに見えてきます。
結論:企業分析は「自分なりの視点」を持つためのトレーニング
企業分析のゴールは、企業の情報を完璧に暗記することではありません。 集めた情報(Fact)を元に、**「自分は、この会社をこう思う」 「この会社の未来は、こうなるのではないか」**という、あなただけの「視点(Opinion)」を持つことです。
その視点こそが、面接官の心を動かし、「この学生は、物事の本質を捉えようとしているな」と評価されるポイントになります。
今回ご紹介した 5 つのフレームワークは、その「自分なりの視点」を鍛えるためのトレーニングメニューです。ぜひ、気になる企業をこのフレームワークに当てはめて、分析してみてください。今まで見えなかった企業の姿が、きっと見えてくるはずです。
Gyo-Kai Compass